2014年11月30日日曜日

創作と情熱と苦手と

こんばんは。
文学フリマで販売した短篇集「ドライ・メライ・ドーリーズ」の感想を何件かいただきまして、ありがとう、うれしい!と言って飛び跳ねたさしかありません。自分で買った本はまだ全然読めていないのですけれど、やはり読み終わったら、感想を送ろうと思っています。

実のところ本を読むのは大好きでも感想をまとめるのはとても苦手なので、小学生のあのね日記みたいになってしまうこと請け合いです。それでも、やはりこのような文芸同人をやるうえでのメリットと言ってはおかしいかもしれませんが、「仲間内でないところから感想をもらえる」というのはとても大切なことなのではないかと思います。


創作に関するあれやこれ、というのは「ドライ・メライ・ドーリーズ」の舞台裏とかそういう語りはしたくないというよりもないので置いておくとして、なんとなく、いろいろと思ったことをメモする程度のお話です。なお、創作理論のようなお勉強はしたことがありませんので、あしからず。


今回文学フリマに参加するにあたって、落山も筆名でのtwitter(@You_Ochiyama)をはじめたのですね。そして文学フリマ参加者周辺などをフォローさせていただいて、しばらく観察するとなんとも興味深かったです。詳しくは書きませんが、文学フリマというひとつの会場の中でも「文壇」じみたものがあり、それらの人々に評価されることを目標としているようなきらいがあるように見受けられます。何を思ってモノを書くかなんて人それぞれですから、批判するつもりは毛頭ありません。しかし、ガイドブックやそれに準ずるものに疑問を覚えたことは確かでした。

まあ、イベント自体のことはこんなもので。

落山の書き物についてですね。
このブログでもたびたび発言していますが、わたくしは自分の書いた作品が好きです。単純です。作品には特に深い目論見があるわけではないので、読みたいように読んでいただければ幸いです。

で、

次のイベント出展も、考えるわけです。春の文フリでは個人誌でなくてもまたちがう形の寄稿をする未定の予定があるのですが、それとは別にやはり、個人誌。また短篇集を出そうかな、とか、しかし今回の内容ときっと変わらないだろうなとか、そういうことです。必ずしも人を楽しませるために小説を書いているわけではないので、それに加えこれは同人活動であるし、と思うと、何となく、こう。ふーん、みたいな気持ちになることがあります。

変な話、自分は小説を書かなくても死なない、ということで。情熱をもって活動する人はとてもすきですし尊敬できます。だけど自分はそうではない、というギャップに、時どき苦しくなるときはあります。演劇をやっていた時期もそうで、集団の中で演じること戯曲を書くこと演出することを楽しみながらも、みなと同じ熱量をもって取り組むことはできない、ということ。演劇がすきではない、とかそういうわけではないんです。

ただ、自分は演劇がなくても死なない。小説を書かなくてもへっちゃら。何と言い表せばいいんでしょうね。読書が趣味で、ゲームも好きで、いわゆるオタクというコミュニティのなかにもいながら、ひとつのことに没頭して、捧げることができない苦しみがあります。創作はとてもすきです。美術系統の道に憧れながらもそちらへ進むことを決意できなかったのも、そういうひっかかりがありました。今もなお、今属する場所で、自分の身の置き所に悩み続けています。

これを語って何がしたいというわけではありませんが、なんとなく、熱意というものに敗北しつづけること、を、吐き出してみたかったのかもしれません。この記事はなんとなく恥ずかしくなって消してしまうかもしれませんね。

こんなやつの小説がおもしろいわけがない、と思うのは自由です。が、熱意のある創作が面白いわけでは決してない。いち読み手として、あるいは嫉妬する個人として、そんなことを言いたくなりました。情熱と本気と真剣とに支配された世界が苦手です。

ほんとうになんとなーく、創作アカウントだと、敗色濃厚すぎて、悔しくなってしまったので。
うーん、醜い!



落山 羊

2014年11月25日火曜日

第十九回文学フリマを終えて

こんばんは!
昨日の第十九回文学フリマを無事に終えまして、レポートを書こうと思います。

当日朝から14時過ぎくらいまではずっとひとりでやっていました。

 
 
 
当日の様子です。これは設営直後なんですが、それ以後ブースの写真を撮影しませんでした。なんというか、内容に反してナチュラルガールな感じで、非常に地味ですね。埋没していました。次回参加する折には、もっと尖っていこうと思います。
 
 
今回、ヲンブルペコネは初参加でした。文学フリマ自体ももちろん、こういったイベント参加、というか個人誌をつくることも何もかも初めてでした。合同誌や戯曲などをつくったことはあれど、こうして小説の個人誌を発行し販売するというのは、とてもたのしかったです。(ターリー屋さんのカレー弁当もおいしかったです。スプーンついてましたね!)
 
それもこれも思いのほか多くのかたに手に取っていただいたからというのが大きいです。知名度もなにもないヲンブルペコネではありますが、無料配布も短篇集もかなりはけたので、感動しました。ちなみに家業関係の帆布の小物も並べていたのですが、ブックカバーやペンケースも手に取っていただきましてありがとうございました。
 
 



こんな感じ。

文芸イベントとはどんなものかと思いきや、にぎやかでさまざまな人種が集まっていて興味深かったですね。なんというか、こうすればもっと買ってもらえるのでは、というのがわかりやすいような気もしました。一階純文学の界隈は一癖も二癖もありそうな感じが多かったですね。個人的には二階のごった煮の雰囲気がとても好きでした。

売り子さんが来てくれてから少しふらふら彷徨いました。まだ自分が買った本のほうは全然よめていないのですが、そのうちこちらのブログにも書こうと思います。作者さんにはできるだけ感想のメールを送りたいですね……。

というわけで、次回五月の文学フリマ、出るかどうかはまだアヤシイところなのですが、一応出る方針ではおります。ヲンブルペコネでなくてもほかの場所で書く可能性が少しありまして、そのあたりとの兼ね合いで熟考中です。どちらにせよ落山の名まえで書いているので、随時twitter(@You_Ochiyama)などでお知らせできればと思います。



今回落山の本を購入してくださった方々、ほんとうにありがとうございました。読む時間を無駄にはさせません、面白いです、きっと。見本誌をみて買いに来てくださったかた、無料配布を読んでから戻ってきてくださったかた、twitterから興味をもってくださったかた、とてもうれしかったです。次回出展することがあれば、もっと交流したいですね!
よろしければ感想などいただければ幸いです。


文フリ出展者のみなさま、運営局のみなさまも、お疲れ様でした!




落山 羊

2014年11月22日土曜日

文フリまであと2日です~

こんばんは~



文学フリマまであと2日、もう夜ですのであと1日と言ってもいいですね。

落山のブースは【B-12】です。
1階の純文学のコーナーにおります。

みなさま、欲しい本のリストなど作っておられるのでしょうか。
文学フリマ一般参加もしたことがないのですが、知り合いの方々、文芸の先輩からは「直感で買う人のほう多い感じ」と聞いておりましたので、ヲンブルペコネがんばれるか、と悶々しています。

当日、わたしは自分の欲しい本を買いに行ったり……
はしますが、基本的にはブースにいます。売り子さんをなんとか確保できたおかげで、回ることができてうれしい限り。

このブログもささやかにアクセスいただくので、なんらかの宣伝効果になればと思い、きょうもお知らせがひとつございます。






ほい、こちら、無料配布冊子になります。
無料
ですよ~。初参加ということもあり、わたくし落山の作品がどのようか、というのを知ってもらおうというこころみです。それに、机上にある頒布物が文庫本一種だけだと寂しいですしね!
本当は栞も作ろうと思っていたのですが、ばたばたしていて企画倒れしました。今度は素直に友人の助力を請おうと思います。

えー、この無料配布冊子ですが、全10ページ、短篇がちょうど一本入っております。
「ドライ・メライ・ドーリーズ」のほうが奇想とかグロテスクのほうだとすれば、この「Selkie」は幻想小説の類ですね。かなり綺麗目で、自分にしてはとてもあっさりな後味だと思います。

タイトルの通り、セルキー伝説をモチーフに(後からこじつけました)。

セルキー伝説は、検索していただけるといちばんわかりやすいです。
なんというか、うーん、アザラシの妖精なんですけれど、毛皮を脱いで陸にあがると女の人になるんですね。そこで毛皮を隠して7年そのまま彼女に見つからなければ陸地で幸せに暮らすんですけれど、毛皮を彼女が発見すると、それを着てアザラシになって海に帰っちゃう、みたいな。

すごく適当に話していてすみません。あの、タイトルに悩んであとからこじつけました……。

そんな感じのお話です。「ドライ・メライ・ドーリーズ」がタイトルに反してウェットで濃密な短篇集だとすると「Selkie」もタイトルに反してドライな印象の短篇です。天邪鬼ですね、わたくしが。


こちら無料配布冊子ということで張り切って作ったので、短篇集かうまえに考えたい、あるいhあ無料で文学フリマを楽しみたい、そんな方々、ぜひお手に取ってください。本当に、文章は相性もありますし、試すって大切だと思うので。それに文学フリマは入場料がありませんし、無料で楽しみたいという意見は実現できると思うのです。

ほかのサークルさんのすてきな本を買いすぎて、お財布空っぽ!なんて時にも。

あからさまな言い方をするとこちらも宣伝だったり読んでほしい読んでくれ、という感じなので、うけとってもらえるとウィンウィンなんですよ。短篇集のほうとは少し作風が異なるという欠点もありますが、気に入っていただけたら幸いです。そしてその暁はぜひ、短篇集のほうを購入いただけたらなあと願ってやみません!


第19回文学フリマ 於;東京流通センター

サークル名:ヲンブルペコネ(落山 羊)
ブース番号:B-12
頒布物:短篇7篇を収録した短篇集「ドライ・メライ・ドーリーズ」
    文庫判136ページ、300円
    無料配布冊子「Selkie」
    A5判10ページ、コピー本、無料

とっても素敵なイベントだと思います!(行って確かめます!)
お暇なかたは是非足を運んでみてください。わたしもとっても楽しみです。
なお、WEBカタログが完全無料で利用できて便利なようなので、サークルさんをチェックする際などに使ってみたらいかがでしょうか。

https://t.co/IsYwOZ8jb3

では、前日もおそらく更新するでしょうが、当日お会いできるとよいですね!



落山 羊

 
  



2014年11月12日水曜日

「ドライ・メライ・ドーリーズ」本文サンプルなど

文フリが近づいてきております。

本は先月にできあがっていたので、栞や無配のコピーをつくるぞ!と意気込んでいたのでした。
が、しかし。
まだ何にも手をつけていないのが我ながら不思議です。小説もまったく書いていないです、近ごろ。なので余裕をもって無配を考えるつもりが、ひねり出さないといけないような気がしてきました。過去作を使ってもいいんですけれど、長さがちょうどいいのがなかなか見つからず、そのあたりなやましいですね。

twitterアカウント@You_Ochiyama

にて、第十九回文学フリマで頒布する「ドライ・メライ・ドーリーズ」の本文抜粋を投稿しております。ちょくちょく宣伝しているので、ツイッターをやってる方は、のぞいてみてください。建設的なつぶやきはできないので、基本的には唐突に抜粋と宣伝を投げるアカウントです。たまに落山が出現して、進捗進捗とうなったり「何もできてない」アピールをしだすメンドクサイ代物でもあるとかないとか。

そして今回のブログでは、短篇タイトルすべてとその本文抜粋で紹介していこうかと思います。掌編と言ったほうがいいくらい短いものも多いので、紹介分よりも抜粋のほうがわかりやすいかなと。


◆復活祭
 このキリストは畸形児だ。十三日目のキリストだからだろうか。それとも、彼がいかがわしいピンク色をしたベッドで懶惰な復活を遂げてしまったせいだろうか。
「キリストの、二度目はきっと、腹上死」
 口の中へ放り込む。くたくたとしていて、骨やらなんやらの存在はあまり感じられなかった。多分キリストは苦行を重ねたとしても、気合とか根性とか、そういう泥臭いものとは無縁だからだろう。


◆絹のエトランゼ
 六月の雨を呼ぶぬるんだ空気は、夕の薄橙のヴェールを透かして、僕たちを締めつけるように抱きしめている。こうしてふたりで手を絡ませて歩いている、その時間は、瑪瑙に閉じ込められた水と同じに、永遠に揺さぶられ続けるのだろうか。
 どこにも行けやしないのだと、痛いほどに感じるのは何故なのか。
 あのバケツの中の汚水は僕のからだの隅々まで沁み渡ったというのに、僕と繭はこうして再び名前を取り戻し、手と手を複雑に固く結んでいるというのに、息苦しさは額を撫で、シャツと肌のすき間を侵す。


◆さなぎ病
 昆虫採集に熱中する人は、天才なんだって。ファーブルだけじゃないんだって。
 だからもしかすると、望月も天才なのかもしれない。サラリーマンだと名乗る彼が本当はフリーター三十四歳だとしても、まだその才能は蕾なだけだ。いつか花開く日を待ち続けて、こうして馬鹿みたいに暑い真夏の公園の、さらに馬鹿みたいに暑い地表近くで、才能の欠片を探している。
 そう思えば、さっきのかまきりだって、かわいい。そうでしょ?


◆愛しのモリー
 モリーのことは大嫌いだった。モリーは大きな猫だった。モリーは、そう、独占していた。モリーのことを嫌いなのは、お母さんのことが好きだったからだ。モリーはかわゆい猫だった。お母さんは猫らしくないといってよく、モリーのことを蹴った。わたしはモリーを庇った。モリーはわたしによく懐いた。モリーは、モリーの緑色のプラスチックは、ぷつりと薄皮の破れる感覚は軽く、そのあとは固いけれど湿った、吐き気を催すようなあの……あの感触を、何にたとえたらいいのだろう。ゼリーの中に、蠅が閉じ込められているときのような、シチューの中に、小石が入っているような。あの、生理の齟齬が、わたしの肌を粟立てて、背筋を戦慄させ、指先を震わせた。


◆ボイルドエッグ・スクランブル
 退屈な日常に、起こりそうで起こらない喧嘩。悪感情は誰もが持っているけれど、それを発露させるとなると、途端に躊躇いだす年ごろのわたしたち。それが見よ、町田みちるの、素直さを。
「あなたが見下げたひとだってこと、よくわかった。私はただ、藤川君を変な目で見るのをやめなさいと言いに来ただけ。彼はとても迷惑してるの。あなたみたいな不良女、見るだけで藤川君がケガレル」
 晶が吹き出したのが聞こえた。彼は手のひらで口を覆って、かすかに震えていた。わたしもまったく同じ気持ちだ。ケガレル――ケガレル? はじめて聞く言葉だ。ケガレル、だなんて、ケガレル、とはいったい。わたしは町田みちるを惚れ惚れと見上げた。


◆葉子
 唾液に濡れた舌先が見つける、食べ物ではない何か。味はしない。声なき断末魔に脈打って、わたしの舌を嬲る蝶々が、不気味だ。しかし、心地よくもあった。それはありがちな興奮などではなく、過去と感傷に基づいた、いわば映画の回想のようにセピア色をした、褪せた青春の仲間だ。子ども時代の残酷と不条理とを思い出して、当時の自分に想いを馳せ、戻りたいとは望まずとも、せめて今だけはと静かに願う気持ちにも似ている。


◆グリーン・スナップ・テトラ
「なんか、懐かしいんだよね、雲居みき」
「それさあ、水鳥はお父さんがほしいだけじゃないの」
「そうかなあ」
「そうだよ」
「でも、そうだとして、問題なくない?」
 そう問うと、朱莉沙は黙り込んだ。慣れない熱い湯のせいか、彼女の顔はすでに真っ赤だ。ゆで上がった猿のお尻みたいだ。



という風な、全七篇です。
どうでしょう、お気に召したものはありましたか?
作者としてはどれも好きですが、読み返すと「絹のエトランゼ」と「愛しのモリー」がいいなあと思います。前は確か、「ボイルドエッグ・スクランブル」がお気に入りとも書きましたが。

自分の作風と言うほど数をかいていないので、何とも言い難いところはあります。耽美っぽいところが多いときもあるし。

「絹のエトランゼ」「ボイルドエッグ・スクランブル」「グリーン・スナップ・テトラ」のみっつは高校生が主人公です。このあたり青春ものを書くぞ!と思ってできあがった湿度が激しく高い、もはやじめじめを超えた変青春ものになっていると思います。多分グリーンがいちばん読みやすいんじゃないかなあなど。

個々の作品について、とくに目論見などはなく、込められた深い意味なんてものもありません。書きたかったものを書いているだけです。何かひとつでも心に触れるものがあれば、「ドライ・メライ・ドーリーズ」、ぜひお手にとってみてください。


11月24日(月)
第十九回文学フリマは東京流通センターにて。
当サークル【ヲンブルペコネ】は【B-12】というスペースでお待ちしております!

「ドライ・メライ・ドーリーズ」
文庫判136ページ、300円にて配布。
なお、無配と栞をこれから!準備します!



落山羊