2017年2月6日月曜日

【COMITIA119】新刊宣伝!『病める白百合』で獣になろう!【美少年】

来るCOMITIA119!
第一弾『病める白百合』です。なお最初の情報はスペース番号【み02b】です!

 おばんです。跳ぶほうのひつじです。
 此度はCOMITIAに初参戦ということで、張り切って本を作りました。そう、『病める白百合』です。昨年のテキレボ等で頒布した『赤錆びと渇きの。』および『眩暈の紫』とホーンという世界観を共有しております。そして3作もやったんだからホーンはこれでおしまいです。

☆まず、『病める白百合』はカクヨムにて公開しております。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881901416#reviews






 こちらに多少の修正と序章を追加し、おいしいごはんさんの装画がついたものが製本版『病める白百合』となっております。ので、内容を知っておきたいというかたはぜひカクヨム版をご一読ください。なんというか、こう、せまーいかんじのお話でもあるので……。

ばーん!表紙!


※この白い線は修正ではなく、背幅です。



☆本文抜粋

 扉に背を向けて真直ぐに前を見ると、なにかとらえがたいものが宙に浮いていた。否、浮いているのかはわからない。それは黒い、闇よりもなお濃い、純黒とあらわすべき、あらゆる景色から遊離した黒の、亀裂だった。あれには近づいてはならないと直感し、視線を横に向ける。左手はすぐ書架の壁、右手奥には巨大な寝台があった。寝乱れた敷布を目にしたとき、なにか禍々しい欲望が頭をもたげるのを感じた。
 扉の、対角線上。
 そこにそれはいた。
 机に向かって、一心不乱に何かを記していた。
 足元の狼が、真白い毛皮をした巨きな狼が、磁翠を見つめている――。
 闇はしたたるようだった。磁翠がもたらした揺らぎによって掻き乱された、その濃密な闇のもとで、痩せた少年の真白い髪は、あわい光を放っていた。ゆっくりと、引きのばされた時間が飴のように糸引くなかで、少年は振り向き、磁翠を見た。銀色の眸が、頭蓋の裏まで見通せそうに透きとおった眸が、洞を湛えて磁翠を見た。
 ――汚らわしい。
 と。直感した。
 精妙な造作のかんばせは、この世のものとは思えないほどうつくしいというのに、汚らわしいと。少年の、痩せ細った躰の隅々までが、汚れている。白い髪、白い膚、汚れを厭うて与えられたかのような色彩。青白い膚はのっぺりとしていて、薄い皮膚のしたの血管には青い血が流れているのではないかと思えるほどだった。睫も眉も白く、顔貌は、曖昧だ……。どんな、造作も関係がなかった。目で見るものより確かな感覚が、ぞわりと膚を粟立たせた。背をはしる怖気を生々しく感じた。恐怖と感嘆のうつろな余韻のうちで、磁翠は奇妙な思いに囚われた。

(この少年は、ものだ)
 p.15より


私は貴方に焦がれるあまり、きっとどこかをおかしくしたに相違ありません。ねえ、どこにいらっしゃるのです。私が古びてまったく朽ちてしまうまえに、貴方は私を抱きしめなければなりません。捨て去るくらいならば喰らってください。貴方の傷に封じられた、無数の血肉のひと欠片と成り果てようと、捨てられることに較べれば、いったいどれほどの幸福か、計ることはきっとかないません。けれどそんな不幸を、貴方はきっと私にお与えにはならないでしょう。貴方は私を愛しているのですから、そんな仕打ちはできないでしょう。たといいますぐに来られずとも、貴方は私を捨てない。けして。私はそう、信じております。
 いつほど、私を迎えに来てくださいますか。

 あわれな私の犬の役目に、終止符を打ってくださいますか。
p.18


(腹が減った……)
 夜会へ煙草の煙を空しく吸い込み、首を傾げる。ずいぶん髪が伸びてきていた。鬱陶しい黒髪を耳にかけて、磁翠は唇に触れた。腹が減った、と感じる。が、確かにサキが訝しんだように、近ごろの自分は食べても食べても足りない。思い当る節がなかった。特にいつもと異なる行動をしているわけでもない。魔術師の蔵書を漁り、女と遊んでイザとサキと食事をし、アネモネの喫茶店で煙草を喫って、アパートで眠るだけ――。
 噴水のなかへと煙草を捨てた。二本目に火を点けたところで、茂みから男が去っていった。磁翠は腰を上げ、いましがた男が出てきた茂みへと踏み込む。肌も露わな娘が、ぐったりと力を脱いて横たわっている。コルセットからは乳房が溢れかけ、ドレスの骨は外されている、滑稽なのに扇情的なすがた。彼女は磁翠を見上げると、驚くほど屈託なく微笑み、両腕を伸ばす。
「…………」
(腹が減った)
 丸い胸に手を伸ばして掴んだ。娘の唇からあえかな息が漏れる。絶頂の余韻に浸っていたのであろう娘は、頬を火照らせて悩ましく躰をくねらせた。前の男で汚れた躰であろうとも、彼には関わりがなかった。磁翠は上着も脱がず、煙草も捨てないまま、身を沈める。
pp.37-38


 という感じです!少しは雰囲気が伝わったでしょうか。
 
【詳細】本文72頁、B6判2段組、600円、装画:おいしいごはん

 もう一度書きますが、COMITIA119、【み02b】で頒布いたします~。おそらく『赤錆びと渇きの。』も手元にある数冊だけになってしまうのですが、持って行きますので、よろしくお願いいたします。







▼以下、わたしの『病める白百合』への思い入れについてのグダグダです

 『病める白百合』になぜ思い入れがあるかというと、という恥ずかしい話をしようと思います。それはさかのぼることX年……JKになったわたしはケータイ電話を手にして真っ先に何をしたかというと、ケータイ小説サイトへの登録!でした。とにかくケータイ小説に憧れていて(中学生のときに大流行しましたが、わたしはケータイ電話を持っていなかったので、鬱屈していた)、書きたくて読みたくてたまらなかったんです。そして某魔法の島に居を落ち着けるころには、いまの十倍くらいの規模のお話をけっこう書いていました。その中にホーンを舞台にしたお話がありまして、『病める白百合』の美少年・ジュリアンはその小説の登場人物なのです!
 JKの頃からこんな性癖かというとそんなこともなく、まじめに少女小説を書いていました。ぜーんぶファンタジーで、跳世ひつじはいわばJKです。JK的に書きたかったことをいまスケベを交えてもりもり書いています。ここまでいうと特定できてしまうんですが(なにせ削除していないので)、見つけても静かに手を合わせてあげてください。削除できないんですよ、なんだかもったいなくて。
 そんなこんなで、『病める白百合』は赤錆びと眩暈よりあとに書いたものの、大元のお話の玄孫ぐらいなものですから、未練と思い入れがたっぷりです。唐突に出てくる固有名詞はだいたいぜんぶその大元の作品の人物です。ものすごく個人的な作品ですね。同時に赤錆びと眩暈に共通して登場したアネモネも『病める白百合』でけっこういいポジションにおりますし、新旧交えて過去のわたしと手を繋いだような気分です。




▼まあそんなたわごとはいいにして、とにかく表紙、最高じゃないですか?
 最高ですよね……。
 わたしは美少年よりも美青年が好きなのですが、このジュリアンをいただいたときは感激で。おいしいごはんさんの描かれる絵の色彩と、顔面が非常に好きなので、今回お願いして本当に良かったなぁと思います。まだ現物を見ていないのでアレですが、綺麗な本に仕上がっていたらいいなあ。

 わたしのなかの美少年観が全面に出たお話だと思います。不在の何かを待っていて、唯一の愛と自己存在をがっちりつなぎ合わせていて、寂しくてたまらなくて、同時に死んでいる。すべてに無自覚でかわいそう。誘惑者であると同時に、おいしくなさそう。穢いけどきれい。下品。
 美青年に関しては『赤錆びと渇きの。』のマリアがマイ・フェイバリットですが、美少年と言えばジュリアン、ジュリアンといえば美少年なのです。時が止まっていて、ほとんど死体であるところの美少年!との獣淫!磁翠が磁翠になったのはなんとなくアジアっぽい美青年を想像したらかわいいなと思ったからです。骨が細そうなおとこ同士、それでも確実に違うもの同士が乳繰り合っていたらいいなと。文章に関しては可読性のきわめて低いかんじなので、筆がすべりすぎてどうにもならないからすべるにまかせたことは否定できません。欲望ですね。
 
 『赤錆びと渇きの。』と『眩暈の紫』は日常もの、『病める白百合』はジュリアンと磁翠というふたりを主人公格に配しながらも、まったく交わらないので、なんと呼べばいいかよくわかりません。このふたり、関係を築いていないので……なにせ美少年なので……。
 ですが、読んでいただけたら嬉しいなーと思います。表紙のうつくしい絵につられて手に取ってうわくっせぇと思っていただいてもいいですし、美少年は骨と皮と腐った内臓!と賛同していただけたら嬉しいなあ。美少年の内臓なんてねぇ、腐ってなけりゃあるいは冷凍食品みたいなもんですよ。
 えんえんと美少年と美青年と美少女について語りたいくらいの気持ちです。

  COMITIA119ではぜひ遊びに来てくださいねー!
 あわせて、合同誌『Odd...』もお手に取っていただけたら嬉しいです。

跳世ひつじ

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